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その人として生きること

在宅初日、父はリビングに設置した簡易ベットの上で点滴をしながら医師を待った。パジャマを着て横たわる姿は、まさに病人そのものだった。

そこへやってきた医師は、開口一番こう言った。

「昼間から寝間着着て寝て何やってるんですか??あなた、普段から昼間寝てたんですか?なんのために家に帰ってきたんですか?時間がもったいないですよ。自分らしく生きるために家に帰ってきたんでしょ?早く着替えて、遊びに行ってきてください」

初めての訪問でそう言われ、父の目の色は変わった。自分が何をしたいのか?そうだ、バイクに乗りたいから、バイクを買いに行こう!!

父は、若いころバイクに乗り、最近も250ccのバイクに乗り、釣りに行ったりツーリングしたり楽しんでいた。でも父が乗りたかったのは、もっと大きな400ccクラスのバイクだったのだ。私も父の影響でバイクに乗っていた。車の免許よりも、バイクが先だったのだ。私と一緒に、中古のバイクを買いに出かけた。その時の父の嬉しそうで生き生きした表情を忘れられない。少年だった。そして、YAMAHA バルカンを購入した。400ccのアメリカンバイクだ。私は、YAMAHA ドラッグスターを購入した。こうして、父とのツーリングが始まったのだ。仕事の休みには、私の長男や、妹もつれて、後ろに乗せ、ツーリングに出かけた。

実は、私は、医療従事者であったので、看護師としての視点でも医師や看護師を観察していた。どことなく型破りで何でもありで、でも一流の腕を持つこの医師に、興味があったのだ。次は何を言うのだろうか??医師と話をすることが楽しみになっていた。そして、父が在宅に移行する前、医師からこんなことを告げられていた。

「夏は越えられないと思われます」

それは厳しい現実だった。そのことを私は、一人で聞いたのだ。しかし、その夏、父は驚異的な変貌を遂げるのだ。

バイクを得た父は、一人でどこへでもツーリングに出かけて行った。母は、幼稚園教諭だったため、普段は一人で過ごしていたのだ。つまり自由だったのだ。朝、目が覚め、胸に刺さった点滴の針を抜き、父は自由へと解き放たれる。

その日何をしようか考え、天気が良ければ、外へ出ていき、天気が悪ければ、映画を見たり、家で趣味の速記をしたり、本を読んだりして思い思いに過ごした。

そんな父を見ながら、私は、患者として病院に入院して一生を終えることを想像した。多くの制約の中、その人らしさをどこまで尊重してくれるのか?父がバイクでツーリングに行きたいと言ったら、どこまで譲歩してくれたのだろうか?余命、数か月の患者が、バイクでツーリングすることなど、だれが予測できただろうか?しかし、実際に、父は多くのことから解放され、自由に自分らしく生きていることを味わっていたように思うのだ。時には、死の恐怖で押しつぶされそうになっていたこともあっただろう。しかし、それらは、家庭で自分自身として役割を持って過ごすことで、少しずつはねのけられていたのではないかと推測する。煙草を吸いながら酒を飲みながら、時折遠くを見て何かを考えていたりもした。しかし、煙草や酒を許され、自分の好きなスタイルで、心行くまで時間無制限で、考えに浸るという状況を作り出せること、それが重要なのだ。

ひょっとしたら、こんなに快調で、ホントに死ぬなんてことがあるのだろうか?と錯覚をするほどに、父は元気だった。もちろん、食事は、お楽しみ程度しか摂取していなかったため、がりがりに痩せてはいたが、その表情からは、元気はつらつという言葉が適当だった。父は、合気道もやっていて、道着を着てポーズを決めている写真がたくさん残っている。要するに、多趣味だったのだ。父の人生において、この在宅ホスピスを受けていた時間は、明らかに七色に輝いていたのではないだろうか。

ある在宅訪問の日、医師から、

「娘さん、うちの病院で働かない?注射とか点滴とかの技術は、回数やればうまくなるのは当たり前なんだよ。だけど、センスは持っている人しか持っていないからね」

父の闘病を間近で見てきた私は、この医師の技術だけではなく、心意気や考え方に共鳴を受けていた。それはいつしか、この医師と仕事をしてみたい、私もこんな風に患者さんを支えたいという思いへ変わっていた。それを見透かされたようなこのお誘い。父の目の前で繰り広げられたお誘い。父も喜んでいたし、私ももちろん即決した。

もう一人、強烈な印象を放っていたのは、師長だった。時には非常に厳しく、また、時には、底抜けに優しい。その鋭い目で何を見てきたのか、とても興味深かった。

私は、何の迷いもなく、職場にすぐに退職願を提出し、前代未聞の、患者家族からの就職を遂げた。

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